9月(長月)の表紙
稲月の馬瀬川火ぶり漁
夜がようやく長くなる長月。
稲熟(いなあがり)月、稲刈(いなかり)月と呼ばれるぐらい
稲月でもある。
稲月に行われる馬瀬川火ぶり漁は淡く幻想的だ。
小潮上弦の月近い9月11日、夜の7時半
馬瀬西村の馬瀬川の両岸に置かれたかがり火が一斉に炎を燃やす。
清流馬瀬川鮎とり隊の川漁師10人が川に入り、
竹竿に吊るしたかがり火を水面近くで左右に大きく振り、
水面を竿で叩いていく。
鮎は炎と音で錯乱し、川底に張られたテイナ網に追い込まれる。
テイナが吊るし竿に掛けられ
掛ったばかりの馬瀬鮎を観光客が外す。
ヌルッとする感触に笑顔がこぼれ、鼻を近づけ香りも確かめる。
親子三代の鮎とり隊がいる、
馬瀬伝統漁法を後世に伝えるその心意気は清い。