夏の少年 ゴトッチの餌釣り 

シリーズ川に生きる№3

<夏の少年 ゴトッチの餌釣り>

都筑良雄

2010年8月11日投稿

学校のプールに飽きた僕たちは、パワーショベルで川底を掘り、石を積み上げて囲んだだけの川のプールへ泳ぎに行きます。そんな手作りプールにも飽きてしまい、遊び場として見つけたのは流れの緩やかな浅瀬が続く川西側の益田橋上流域でした。ここは古関側からの谷水が本流に流れ込む所で、本流の中心までが5メートルほど、水深が60センチくらいです。ウグイなどの小魚が集まり、本当の名前など知らない僕たちはゴトッチ、またはゴトウと呼んでいた魚がウヨウヨいました。正式名は「ヨシノボリ(葦登)」で、ハゼ科に属する体長が約5、6センチの淡水魚です。岸に近く、流れが緩やかな水深の浅い石の上でじっとしています。近づくとスーッ、スーッと石の上を這うように逃げてしまいます。高知の四万十川では、貝を結び付けた綱を引いて一網打尽にする「ゴリのガラ曳き漁」として有名です。ゴリと同種なのかは分かりませんが、同じハゼ科に属するゴトッチの獲り方は餌釣りでした。川原にはえている柳や流木から伸びた枝を70センチぐらいに切って竿にし、1メートルくらいの長さの釣り糸を結び付け、小さなおもりと針を付けた簡単な仕掛けを作ります。餌はミミズを小さく切ったものかゴムシのチビで、たまに魚肉ソーセージを5ミリ角くらいにして使いました。水泳パンツにゴムゾウリを履き、水中メガネを付けて静かに川の中に入っていきます。ゴトッチを見つけると鼻先の2センチ前あたりに餌を持っていき、上下にアクションをつけます。ハゼ科独特の丸く平べったい顔に愛嬌があるゴトッチは川底の藻類を食べていますが雑食性で、ご馳走が目の前でユラユラすれば飛びついてきます。最初、頭をかしげながら「食べようかなぁ、どうしようかなぁ?」みたいな顔をしながらも素早い動きで餌に食いつき、針にかかると「しまった!」と叫んだような顔をして、体をくねらせながら暴れます。ほかの釣りとは違い、水中メガネでゴトッチを見ながらの釣りですから、カワガキにとって楽しくて面白い釣りでした。手のひらに乗せると観念したのか大人しくなり、二枚の腹鰭の間に吸盤状のものがあることからハゼ科に属していることが分かります。ゴトッチを追い、深みに近づくと50センチ近いカワゴイが群れで現れ、ビックリして水を飲み込んでしまったこともありました。

入道雲がわきカンカン照りの夏の午後、腰を曲げながら夢中で水の中を歩き回り、背中は水面から出ているので背中ばかりが日に焼けてしまったことや、疲れて冷えた体は火傷しそうなくらいに熱を持った川原の石に腹ばいになれば、すぐに回復したことを思い出しました。

日が傾いて馬瀬の山へと太陽が隠れ始めるころになると6時を報せるサイレンが鳴り、それと時を同じくして「ご飯やよ~」という声が聞こえてきました。堤防の上を見ると右手をかざして西日をよけ、左手を振る母の姿が見えました。遠い昔の夏の日の思い出です。

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